画家 軽部武宏の日記

画家 軽部武宏の最新情報

ジャコメッティ展

新国立美術館

パリのポンピドゥーセンターで観て以来だから久しぶりに対面した。

高校生の時、針金人間のように細過ぎる人体表現に触れ、自分の概念になかった造形的な美しさに出会えた事に心躍ったのを覚えている。同時にアートの事についてアレコレ考えていた頃でもあり、芸術家にとって作風の確立は必要か否かとか、不可能な事とわかっていながら果敢に表現しようとする事の意味とか、豊穣なシンプルさとは何かとか、様々な青い悩みに対して一つの答えのようなものを差し出してくれた気がしたのだった。しかし、何よりも増して痺れたのは製作中のジャコメッティを写した数枚のポートレートだった。粘土や絵の具で汚れたツイードのジャケットを着て年老い猛禽類のような眼差しで作品と格闘している風のモノクロ写真の格好良さ。たまらなかった。

アドルフ・ヴェルフリ

東京ステーションギャラリーで開催中の展覧会「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」。一年程前にヴェルフリのソロの展覧会が日本で開かれると聞かされた時には本当に驚いた。過去にアウトサイダーアートのグループ展に数点出展されていた事は何度かあったが、今回これだけ纏まった数の作品をいっぺんに観れた事は、感激を通り過ぎてちょっとした事件だと言っていい。絵に関わりのある人間は勿論、そうでない人間も相当な衝撃を受け取る事に違いなく、この先自分の生きている間にまた日本で開催される可能性はほとんど無いと思われ、会場内を行きつ戻りつ一枚一枚じっくり味わった。これでもヴェルフリの遺した膨大な量のドローイングの一部のみの展示なのだが、人間の脳の不思議さや無限の可能性、そして自分がいかに常識に縛られたつまらない大人の社会的約束に毒され続けて日々を過ごしてきたかを改めて思い知ったのだった。作品を破棄せずに保存していた精神病院や支持者、今展覧会を企画した関係者に感謝したい。

 

 

30度超え

室内で加温飼育していたトウブハコガメ2016CB。

本日の亀測定で甲長99mm、体重197g。

生後7ヶ月で甲長は3倍を越え、体重は25倍に!

屋外組のチビミツユビを越えていたので今日から合流させた。

喧嘩すなよ!

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西表島1日目

 

大原で下船したのは4名、9割方は石垣港まで乗って行くようだ。レンタカーで上原方面へゆっくりすすむ。

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干潮時のマングローブ。楽々川沿いをトレッキング出来そうだが、潮が満ちてきたら大変な事になる。

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去年来た時は入り口にロープが張られていた林道が進入出来るようになっていたのでハブに気をつけながら奥へと進む。

坂を下りた突き当りに開けた場所が見えたと思ったら、薄茶の4本足の獣がするりと横切った。???…まさかのイリオモテヤマネコか。一瞬の事で確信が持てない。リュウキュウイノシシかもしれない。どちらも剥製以外見た事が無いのだ。暫く静かににして辺りを窺うがそれっきり何の気配もないのでさらに奥へ歩を進めるといきなり谷津田が目の前に広がった。

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田圃の周囲の堀割には良い雰囲気で水草が繁茂しイトトンボ類が飛び交っていた。

 

 

 

 

 

波照間島3日目

日が高くなる前に島の北西部を目指す。晴天が続いていた為、道路脇のU字溝も干上がっている所が多く、所々に僅かに残る水溜りには数種類のオタマジャクシ達が集結していた。水生昆虫の類いは辛うじてミズスマシを数匹発見したくらいであった。そんな中、浅くて広いコンクリート枡に枯れ草やらが良い感じに集積しているポイントを発見。またもやオタマばかりか?と諦めかけながらも水底をじっと観察していると小型のゲンゴロウらしきものがクルクル泳ぎまわっているのが見えた!急いで網で掬って確認するが、オタマジャクシしか入らない。十数回繰り返しても同じ事だったので暑さと老眼による見間違いだったかもしれないとの思いが脳裏をよぎる。その直後の事だった。「おー!」と僕は思わず小さく叫んだ。大型のゲンゴロウがブッシュの陰に逃げ込んだのだ。ハブの居ない島という事ですっかり安心している僕は石垣に手を掛け草むらに片足を突っ込んで網を持った手を伸ばして静かに的確に掬い上げた。無事ネットイン!大型のゲンゴロウが網に入った瞬間は何度味わっても心が躍る。  まさか奴なのか?腹部を確認する。赤褐色だ。残念!コガタノゲンゴロウであった。ともあれこの島で出会えた事は嬉しい。

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波照間島にはコンビニは無い。

共同売店が数件あるだけだ。

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荷物をまとめて港に向かう。

午後からまたフェリーに乗り西表島を目指す。

 

 

波照間島2日目

有人島としては日本最南端の島の最南端部へ自転車で向かう。

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到着してすぐに見覚えのあるものを発見。

20年近くすっかり忘れていたが、建築を学んでいた学生時代衝撃を受けた「象設計集団」の波照間の碑の大蛇じゃないか!全国から集めた小石と沖縄の珊瑚を使い島民と一緒にセメントで固めて作り上げたという大蛇が捩れよじれて絡み合い60メートル続いているのだ。沖縄と日本が二度と離れ離れにならないようにと願いが込められている。

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観光協会から日本最南端の証を発行してもらった。

集落に戻る途中、何気なく覗いたサトウキビ畑際の排水枡にヤエヤマイシガメを発見して写真を撮らせてもらう。体高のある立派な雄だった。ヤエヤマイシガメは甲羅の茶が濃いタイプと薄いタイプがいるがこの個体は濃い方のタイプ。枡に戻した後、人に会わなさ過ぎて何が起きたか分からないといった風で素っ頓狂にこちらをじっと見ているのが愛らしかった。

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