画家 軽部武宏の日記

画家 軽部武宏の最新情報

雷魚日和

ランニングコース沿いに水路や池があり、水面を覗くのが習慣のようになっている。この時期になると雷魚、関東地方だと殆どカムルチーという事になるが、獲物を探して浅瀬をホバリングしているのをよく見かけるようになる。梅雨の合間の晴れの今朝、久しぶりにワンピースロッドを持ち出し、ノーシンカーワームを葦際にキャスティングしてみた。4投目で64センチの中型がヒット!雷魚はヒット直後の突っ走りは激しいが、途中からすんなりランディングさせてくれる個体が多い気がする。諦めが早いのだろうか。いや、フックオフされた後に地上で左右に体をくねらせ這いまわり水際を目指す一連の動きを見ていると、状況判断が早い図太い神経の持ち主とも言える。

鱗の無い鯰や泥鰌と違って、堅い鱗があるヌメリ感、水彩絵具で表現するのは難しそうだ。魚体に触れた感触が残っている内に佃煮カラーの油絵具でフィンガーペインティングしたくなった。

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ミツユビハコガメのターマス

甲長113mm、体重351g、2013CB

ハコガメコーナーに行くと、真っ先に足元に近寄ってくる。

顔も甲羅も地味なのだが、まんまるの形が二重丸。

指と餌の区別がつかない亀共が多い中、きちんと手から餌を見分けて食べる。

一寸賢そうな目付き、でも、やはり亀は亀。

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トウブハコガメの橙

110mm、268g、2014CB

大食いで成長早く、2013CB軍団にサイズが追いつく。

食意地が張り過ぎて他の亀が食事するのが気に入らないのか、満腹後も餌皿前から離れずよく邪魔をしている。

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船浮集落

割高、混み々の大型連休が終わった頃、西表島に向かった。と言っても目指すは陸の孤島の船浮集落。連休とか関係なく訪れる旅人は少ない。この時期、沖縄奄美地方には早い年だと台風1号がやって来るので、低気圧の北上タイミングによっては旅程がメチャクチャになる。まあ、現地での旅程変更も旅の醍醐味という考えなので、命に関わるような危険な状況でない限りそれなりに楽しめる質ではある。その時は「こりゃひでぇな、ありえねえ」としか感じない出来事も、東京に戻ってから例えば移動中の電車の車窓から排ガスで埃色に染まったビルの屋上バルコニーに干された洗濯物が春の大風に健気にたなびくのを眺めている時に「あれはあれで案外悪くない」などとふと思い出したりする。

石垣港から大原港へ。大原港でレンタカーを借りた時点で15時半を過ぎていた。

僕は昔から蛇が怖い。生き物と関わる事を好む人生を送ってきたし、かつて苦手だった種類もヘーキになったり、逆に好きになったり様々だが、何故か蛇だけは中々恐怖心を克服出来ないでいる。西表には毒蛇王ハブ様がいる。亜熱帯の湿気で汗だくになってもビーサンで林道を歩くなんて考えられない。半ズボンで川岸に?有り得ん。そんな訳だから必要以上に足廻りを固めてしまうし、さらに60Lのザックを担いで歩いるもんだから土地の人にはすっかりジャングルを縦走するワイルドキャンパーと勘違いされ「ちゃんと国土地理院の地図、持っとんのか?」と心配される始末。ジャングルに入ったまま行方不明になっている人が何人もいるらしいのだ。

翌朝、白浜発8:35の船に乗るため港まで時速40キロでぶっ飛ばした。イリオモテヤマネコ等のロードキル防止の為、現在島内走行40キロ速度制限を設けている。船浮港から集落を抜け、多種の蝶が舞う林道を歩き、イダの浜に到着。ずっと昔から変わらずそこに在るであろう風景を目の前にすると決まって押し寄せてくるこの感覚。体中の毛細血管が少し捩れてうねり始め、遠い未来と遠い昔を結ぶ景色変わらぬ一本道が出現し、その路上を歩く嬉しさよ。

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