画家 軽部武宏の日記

画家 軽部武宏の最新情報

ジャコメッティ展

新国立美術館

パリのポンピドゥーセンターで観て以来だから久しぶりに対面した。

高校生の時、針金人間のように細過ぎる人体表現に触れ、自分の概念になかった造形的な美しさに出会えた事に心躍ったのを覚えている。同時にアートの事についてアレコレ考えていた頃でもあり、芸術家にとって作風の確立は必要か否かとか、不可能な事とわかっていながら果敢に表現しようとする事の意味とか、豊穣なシンプルさとは何かとか、様々な青い悩みに対して一つの答えのようなものを差し出してくれた気がしたのだった。しかし、何よりも増して痺れたのは製作中のジャコメッティを写した数枚のポートレートだった。粘土や絵の具で汚れたツイードのジャケットを着て年老い猛禽類のような眼差しで作品と格闘している風のモノクロ写真の格好良さ。たまらなかった。