画家 軽部武宏の日記

画家 軽部武宏の最新情報

アドルフ・ヴェルフリ

東京ステーションギャラリーで開催中の展覧会「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」。一年程前にヴェルフリのソロの展覧会が日本で開かれると聞かされた時には本当に驚いた。過去にアウトサイダーアートのグループ展に数点出展されていた事は何度かあったが、今回これだけ纏まった数の作品をいっぺんに観れた事は、感激を通り過ぎてちょっとした事件だと言っていい。絵に関わりのある人間は勿論、そうでない人間も相当な衝撃を受け取る事に違いなく、この先自分の生きている間にまた日本で開催される可能性はほとんど無いと思われ、会場内を行きつ戻りつ一枚一枚じっくり味わった。これでもヴェルフリの遺した膨大な量のドローイングの一部のみの展示なのだが、人間の脳の不思議さや無限の可能性、そして自分がいかに常識に縛られたつまらない大人の社会的約束に毒され続けて日々を過ごしてきたかを改めて思い知ったのだった。作品を破棄せずに保存していた精神病院や支持者、今展覧会を企画した関係者に感謝したい。