画家 軽部武宏の日記

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人魚のミイラ

国立歴史民俗博物館で開催中の「大ニセモノ博覧会」。偽物、贋作などと漢字表記されていると悪、犯罪、詐欺と負の印象だけが強まるのに対し「ニセモノ」とカタカナ変換表記されるだけで少し大目に見てやろうという緩さや隙間が生じるように思う。勿論、人を騙して金品を巻き上げるような事は言語道断であるという道徳観念を前提にしての話だが昨今の小姑的な「いるのか?いないのか?」「本物?偽物?」論争には少々ウンザリしている。科学者や専門家でない素人は、何とか驚かしてやろうと手間隙かけ必死に努力して作り上げられた「ニセモノ」を単純に面白がるだけでも良いんじゃないの。そして寧ろその胡散臭さの中から新しい物が生まれてくる事もあるんだし。一昔前の見世物小屋について語るほどの知識を併せ持ってはいないが「●●女」や「○男」「×△人間」等の怪しいものをこの眼で見たいという人の野次馬心を刺激する流れが川口浩探検隊シリーズ、MJ12、未確認飛行物体、UMAブームへと続いているんだし、これらは皆嘘だから楽しめない、というのでは一寸寂しすぎる。

で、今回目当ての人魚のミイラ。一目で数種の動物を繋ぎ合わせた剥製だという事が分かる出来具合なのだが、当時はかなりのインパクトを持って眺められた事だろう。素材となっている動物が何なのかはここでは書かない。展示ケースの傍らには「人魚のミイラ制作行程」なるパネルが有った。手順を追えば誰でも作れるような懇切丁寧な制作マニュアルなのだが、動物の死体を切り貼りして作品にするなんて事は一寸遠慮したい。

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