画家 軽部武宏の日記

画家 軽部武宏の最新情報

ポートレート

一年前から依頼されていた知り合いのポートレートが完成し、本日納品した。他の仕事の絵など描いていてずるずると後回しになりずいぶんお待たせしてしまった。依頼人も美に関わる仕事をしているので果たして絵を気に入ってもらえるのか心配だったが喜んで受け取ってもらうことが出来ほっとした。僕はタブローで人物を描く時に誰かをモデルにする事はまず無いのだが、ポートレートを描く場合、当然モデルがいて対象人物と自分との精神的な距離感のようなものがそのまま作品に立ち現れてしまう。歴史上の人物やスターなどだったら憧れや敬意、エピソードなどからの勝手な解釈などを自由に取り込めるし、何の縁もない市中の阿伽の他人だったら初期微動に任せ形や雰囲気を追えば良い。知り合いや親類などを描く場合は先入観や思い入れ等の余計なものが入り込み過ぎると碌な絵にならないのでやや神経を使う。ジョージ・ダイアーをあくまで肉塊として描くベーコン、母親像を皺を撫でるような愛情溢れる線描で何枚も描いたホックニー、どちらも魅力的だが、目の前のモデルに対する冷徹な眼差しがあってこその仕事だろう。

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